コウノドリ2017の第9話に登場する篠原沙月(野波麻帆)。
彼女は、過去に2回の流産を経験したことがあり、3度目の流産を経験することに。
彼女が心配するのは、不育症。
何となくわかっている方もいるかもしれませんが、
当記事では、この不育症について書かせて頂きました。
不育症とは
日本医科大学付属病院では、この「不育症」をこう定義しています。
妊娠はするが、流産や死産を繰り返して元気な赤ちゃんが得られない状態を不育症といいます。
一般的な不妊症とは少し違うことがわかります。
不妊症とは、性生活を営んでも、ある一定期間(1年というのが一般的)妊娠しない事を言います。
つまり、妊娠をしないのが「不妊症」。妊娠はするが、胎児が胎内で育てられない状態が「不育症」となります。
実のところ、筆者の環境が「不妊症」でした。両者は少し違いはありますが、子どもを育てたくても育てられないという、本当にとても辛いものになります。
不育症の定義にもある、流産や死産の違いをちゃんと調べてみると、不思議なことがわかります。それは、厚生労働省と産科婦人科学会で、定義が違うということ。
死産は、妊娠12週以降に胎児が亡くなってしまうこと。12週以前は、流産となる。
死産は、妊娠22週以降に胎児が亡くなってしまうこと。12週~22週の間は「後期流産」とし、12週以前が、流産となる。
日本産科婦人科学会の方が長い理由として、22週以降であれば、未熟児として医療で救える可能性が高いからということです。
こういった違いがあるのも、医療技術により、救える命が増えてきたということなのかもしれません。ちょっと、混乱してしまわないように注意しましょう。
不育症とされる流産や死産の回数
これについては、特に決まった回数はありませんが、3回以上繰り返す事を「習慣流産」といいます。これも不育症のひとつとして捉えるため、3回流産を繰り返せば不育症とされています。
不育症の原因
原因とされる理由はいくつもあり、それを特定することが困難とされています。挙げられる原因としては、下記のとおりです。
・子宮形態異常
その名の通りで、子宮に異常が見られるため、赤ちゃんが正常に成長できない。
・内分泌代謝異常
ホルモンバランスが崩れることで、赤ちゃんが正常に成長できない。
・血液凝固異常
血栓ができやすく、胎児の血液が詰まってしまう
・抗リン脂質抗体
こちらも血栓に関わるもので、自己免疫によって、血栓ができ、胎児の血液が詰まってしまう
・拒絶免疫異常
夫の組織を異物として認識してしまい、排除しようとする
・ストレス
これは言うまでもありません。
色んな原因により発生するため、それぞれにあった治療が必要となります。スクリーニングという検査方法もあり、原因を調べることもできます。
不育症の治療法
胎盤などに血栓ができないようにする「アスピリン療法」や「ヘパリン療法」、夫の組織への拒絶反応を起こさないようにする「夫リンパ球免疫療法」「ピシバニール免疫治療」などです。
それぞれ、原因にあった治療を行うことで、妊娠しやすい体を作ることを目指すことになります。
不育症では妊娠しないのか
不育症でも、諦めることはありません。
実際、下記の通り答えていただいている研究機関もあります。
不育症の方も、80%以上の方が出産することができます。
不育症の方の多く(約半数)は、偶然、胎児染色体異常を繰り返した偶発的流産です。そのような方の場合は、特別な治療を行わなくても次回妊娠予後は良好なので、安心して妊娠できる環境が何より大切です。
子宮形態異常や血栓症のリスクが高まる抗リン脂質抗体症候群、一部のプロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症、第XII因子欠乏症などの場合は、治療が必要になることがあります。
まとめ
不育症というものは、不妊症とはまた違った内容ですが、どちらも子どもが出来なく悩む症状であることは同じです。
12週以降の場合、「死産届け」というものも提出しなければいけません。
せっかく妊娠したのに何度も流産してしまう体にも心にも辛い「不育症」が、コウノドリ9話のテーマとなります。